山形県米沢市(置賜地方)に住んでいたころは、

【雪割納豆】という商品名で呼ぶほうが一般的でしたが、

実は食品名は【五斗納豆】(ごとなっとう)と呼ぶそうです。


とてもマイナーな食品のため、

グーグル賢者に聞いても、これはというレシピはありませんでした。

たいていは作ってから4~5日で食べてしまう、

いわゆる【麹納豆】【納豆麹】と勘違いされているようです。


◆五斗納豆と呼ばれるようになった由来
置賜地方は米沢盆地という、周りを山に囲まれた豪雪地帯で、

その豊富な雪解け水からお米・野菜・フルーツ栽培が盛んな土地でもあります。


冬の間に春先からの農繁期に備えて、

大豆1石に対して米麹五斗と塩五斗を使って仕込んだとか、

五斗も入るほどの樽で仕込んだことから、

五斗納豆と呼ばれるようになったそうです。


出来上がった五斗納豆は、納豆の旨味を備えた麹味噌のようなもの、

あるいは納豆の味噌漬けと言っても良いかもしれません。

納豆に醤油などを使わず、味噌のようにそのまま食べるものなのです。

今でいう『時短料理の調味料』的な存在だったのかもしれません。


おにぎりにすればこれだけで味が決まりますし、

お湯で溶けば味噌汁になります。


◆製造工程から推察されるゴール地点
大豆を一次発酵させて完成した納豆にさらに麹と塩を追加して、

三週間ぐらい二次発酵させたものが雪割納豆(五斗納豆)になるそうです。

つまりは大豆と塩麹で作る味噌を、

大豆の代わりに納豆に置き換えて作ると解釈しました。



今ではこの伝統の味を伝えるのは、たったひとつの会社のみ。

製造販売されている『ゆきんこ』様のサイトは下記になります。

こちらでは雪割納豆のおおまかな説明が記されています。





五斗納豆についてゆきんこ様を取材した記事を発見しました。

それが以下のサイトにありましたので参考までに。




特に以下の記事では、製造工程をちょっとだけ見ることができますよ。







この故郷の味を自分にも継承できるのかどうか。

もう何年も前に食べた味の記憶を元に、

材料はほぼ推測と経験で配合して実験してみました。




◆材料
納豆・・・・・既製品のひきわり納豆 3パック(120g)
乾燥麹・・・・納豆とほぼ同量(120g)
酒とみりん・・乾燥麹を戻すための水分として(煮きり)(150cc)
塩・・・・・・納豆と麹と水分の総重量の8% (20g)
ほんだし・・・少々(うまみ調味料)


◆材料(追い足し分)
だし入り味噌・・大さじ2
乾燥麹・・・・・大さじ1
みりん・・・・・大さじ2(煮きり)
お酒・・・・・・大さじ2(煮きり)
ほんだし・・・・大さじ1



◆手順
  1. 材料の納豆と、乾燥麹を計量して同量用意します。
  2. 酒75CC+みりん75CCを煮切ってアルコールを飛ばします。
  3. 乾燥麹に煮切って40℃以下にさました酒みりん液を入れて戻します。
  4. 納豆と麹とうま味調味料を混ぜます。
  5. 消毒した容器に入れて、常温で発酵させます。
  6. 数日後、麹が柔らかくなってきたら冷蔵庫に入れます。
  7. トータル3か月ぐらいで完成。
  8. 保存は落としラップをして空気に触れさせない。
  9. 容器全体をポリ袋で密封して冷蔵庫野菜室で保管する。


1.酒とみりんを煮切って、乾燥麹に混ぜます。
なるべく水分を多くしたくないので、

下の画像のように水分よりも麹のほうが高くなるようにします。

五斗納豆230516-1


2.水分を戻した麹を120gに計量します。

五斗納豆230516-2


3.次に納豆3パックを入れて混ぜます。

五斗納豆230516-3


4.塩を全体の8%分入れます。
塩分8%濃度は減塩仕様になっています。

10%~12%ぐらいが長期保存に適しているようです。


五斗‼️230516-4


5.最後にうま味調味料をお好みで入れたらしっかり混ぜます。

消毒した容器に入れて常温で発酵させます。

五斗納豆230516-5


麹が柔らかくなってきたら冷蔵庫に移します。


6.【10日後】の状態です。

まだ麹に芯が残っていて硬いので、

食べるまでには至っていません。

雪割納豆230525-2


7.【30日後】の状態です。
麹が柔らかくなっていて味も落ち着いていましたが、

これでは塩辛いだけの納豆で、味噌化しておらず、

旨味が足りませんでした。


雪割納豆230615-1

冷蔵庫の熟成ではこのあたりが限界なのか、

熟成期間が短すぎるのか、その原因はわかりませんが、

発酵はゆっくりと進んでいて、腐敗はしていませんでした。


8.味噌を追い足ししました。
ここで味噌と麹を追い足しする作戦を決行しました。

お酒とみりん、それぞれ大さじ2を煮きってから、

味噌大さじ2とほんだし大さじ1をよく混ぜてから、

五斗納豆に混ぜ入れました。

五斗納豆230617-1


味噌化まで発酵できないのであれば、味噌を足すという

簡単お手軽な作戦でありますw


余談ですが普通の納豆も、醤油や付属のタレで溶くのではなく、

ネギ味噌で溶くのがお勧めで、

さらにオリーブオイルを少々垂らすのも、

味噌とマッチしていておいしかったりします。



追い足した麹がなじむまで、さらに2週間ほど発酵の様子をみます。


9.仕込んでから90日後に完成しました。


仕込んで90日後に味見をしました。

もうこれ以上味も変化しないようで、

五斗納豆の完成として、食べ始めることにしました。


ちなみに水分の具合ですが、やはり味噌のように枯れすぎず、

べちょべちょになり過ぎずです。







10.100日経過したところでヨーグルトメーカーで発酵開始

冷蔵庫内だけではあまりにも発酵が進まないので、

ヨーグルトメーカーで発酵することにしました。

設定温度35~43℃付近で様子を見ながら温めています。

現在120時間経過していますので画像を残しておきます。

五斗納豆120f



発酵が進んで、五斗納豆が変色してきました。

お手本となる雪割納豆とほぼ同じような色具合に。

味は旨味調味料や煮きったお酒・みりんを使いましたので、

雪割納豆よりもかなり旨味が強い濃厚な仕上がりになりました。


これが良い悪いではなく、自分なりの五斗納豆ができたと思います。


五斗納豆120





普通のおかずのレシピのように、

分量を決めたらそれで終わりというわけにはいきませんでした。

途中で味見をしながら、足りないと思ったら水分を足したり、

うまみを追加したりして、じっくり調整する必要がありました。



このような作業内容で試行錯誤をしていますが、

家庭用の五斗納豆レシピをまとめることができました。



しかしあくまで自己流です。

これが古くから伝わる五斗納豆なのかと聞かれたら、

間違いないとは言い切れません。



以上、ご覧いただきありがとうございました。
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