山形県の置賜地方に古くから伝わる、
五斗納豆(ごとなっとう)と呼ばれている納豆があります。
今ではほとんど作る家庭もなく、消えゆく味となりつつあります。
◆五斗納豆とは何か?
五斗納豆は、大豆を納豆に一次発酵させてから、
塩と麹で2次発酵させた保存食です。
納豆の味噌化、納豆の塩麹漬けが五斗納豆と言えるでしょう。
◆五斗納豆の由来
天保14年(1843)に刊行された貞丈雑記の中に、
隣の糂粏味噌(となりのじんだみそ)ということわざがあり、
これは隣の芝生と同じ意味なのだそうですが、
糂汰味噌とはどろどろとした「ぬかみそ」や「五斗味噌(ごとみそ) 」を指すそうなのです。
歴史を紐解くと、やはり五斗納豆は納豆の味噌化であることが分かってきました。
五斗納豆は米沢の地元企業の【ゆきんこ】さんが、
【雪割納豆】として生産販売をしておられます。
ゆきんこさんの取材記事などを元にしたレシピの考察については、
一回目の実験記事をご覧ください。
五斗納豆を作るのは今回が2度目になりますが、
味噌づくりの工程を参考にして、
市販のひきわり納豆を使って発酵させてみました。
ただし、市販の納豆には賞味期限が設定されています。
五斗納豆を作るにあたっては、
この賞味期限を大きく超えることになりますので、
もし作るのであればあくまでも自己責任でお願いします。
普段から自家製のお漬物を作ったりして、
発酵についてや、容器や調理器具の消毒方法などの知識が必要です。
五斗納豆(ごとなっとう)と呼ばれている納豆があります。
今ではほとんど作る家庭もなく、消えゆく味となりつつあります。
◆五斗納豆とは何か?
五斗納豆は、大豆を納豆に一次発酵させてから、
塩と麹で2次発酵させた保存食です。
納豆の味噌化、納豆の塩麹漬けが五斗納豆と言えるでしょう。
◆五斗納豆の由来
天保14年(1843)に刊行された貞丈雑記の中に、
隣の糂粏味噌(となりのじんだみそ)ということわざがあり、
これは隣の芝生と同じ意味なのだそうですが、
糂汰味噌とはどろどろとした「ぬかみそ」や「五斗味噌(ごとみそ) 」を指すそうなのです。
五斗味噌とは鎌倉時代から伝わる味噌で、
白米と糀、塩に加えて、酒粕と米ぬかが入ったお味噌です。
白米と糀、塩に加えて、酒粕と米ぬかが入ったお味噌です。
歴史を紐解くと、やはり五斗納豆は納豆の味噌化であることが分かってきました。
五斗納豆は米沢の地元企業の【ゆきんこ】さんが、
【雪割納豆】として生産販売をしておられます。
ゆきんこさんの取材記事などを元にしたレシピの考察については、
一回目の実験記事をご覧ください。
五斗納豆を作るのは今回が2度目になりますが、
味噌づくりの工程を参考にして、
市販のひきわり納豆を使って発酵させてみました。
ただし、市販の納豆には賞味期限が設定されています。
五斗納豆を作るにあたっては、
この賞味期限を大きく超えることになりますので、
もし作るのであればあくまでも自己責任でお願いします。
普段から自家製のお漬物を作ったりして、
発酵についてや、容器や調理器具の消毒方法などの知識が必要です。
◆材料 (だいたいの目安)
※塩分濃度は12%以下になると傷みやすくなるそうです。
ここでは減塩のため8%に設定しました。
※ヨーグルトメーカーで熟成後に
顆粒昆布だしを大さじ1,5杯程度を追加投入しました。
◆保存容器とアルコール消毒
五斗納豆を発酵させるために、2つの容器を準備しました。
低温の発酵は雑菌との闘いでもありますから、
使う容器やスプーンなどは必ず毎回アルコール消毒をしましょう。
◆乾燥米麹の下準備
乾燥米麹65gに同量程度の水65ccを入れて、
麹菌を目覚めさせる作業をします。
容器に乾燥米麹と分量のぬるま湯40度ぐらいを、
米麹がぎりぎりつかるぐらいまで入れます。
フライパンに40度程度のお湯をはって容器ごと湯せんしました。

湯につけたらタオルなどをかぶせて保温しておき、
温度が下がってもかまわず、2~3時間おいて、
米粒が指でつぶれる程度に柔らかくなったら準備完了です。

米麹が40度以上にならないようなお湯で作業してください。
水で戻した米麹の水分が少なすぎても発酵しないでしょうし、
水分が多すぎると雑菌の繁殖にもつながりますので、
まずはぎりぎりの水分量で進めていきます。
乾燥米麹によって必要な水分量も変わりますので、
発酵開始後に様子をみて、水分が足りなければ追加することにします。
◆全体の塩分量を8%にするための計算式
食材のグラム数 × 濃度% ÷(100-濃度%)= 塩分量g
これに当てはめていきます。
260×8÷(100-8)=22.6g ≒23g
必要な塩はおよそ23グラムとなりました。
一般的な味噌の塩分量は10%~12%ぐらいだそうです。
雑菌は塩分に弱いので、うまく発酵させるには塩分濃度が重要。
今回はそれほど長期熟成しないので、8%に設定しました。
◆材料をあわせて発酵開始
今回は2種類の方法で発酵を進めます。
麹菌が活発になり、かつ死滅しない温度設定として、
今回は33度付近で発酵させることにしました。
現在のキッチンの室温は25度前後になり、湿度は70%あります。
この部屋の状態で常温発酵を進めていきます。
◆食材の準備と調理手順
納豆は市販のひきわり納豆を使いました。

ひきわり納豆130gをよくといで容器に入れます。

次に水で戻して準備した米麹130gを入れます。

塩分濃度を8%にするための塩23gを入れます。

最後にほんだしを5g入れます。

全部入れ終わったらよくかき混ぜてから、
保存容器に入れます。

落としラップで納豆が直接空気に触れないように蓋をします。

キッチンタオルなどでさらに蓋をしてから、
食用オッケーなアルコールをキッチンタオルに吹きかけて濡らし、
五斗納豆に雑菌が入らないようにします。

ヨーグルトメーカーで発酵する容器にも、
同じように落としラップとキッチンタオルで蓋をして除菌しましょう。

こうして、準備ができたら発酵開始です。

常温発酵の容器は、ポリ袋の中に入れて密封しておきます。

たまに様子を見てキッチンタオルが乾かないようにアルコール消毒をしました。
発酵開始から2週間が経過しました。
ヨーグルトメーカーで発酵させた分は容器を移し替えました。

やはり温度が高い分、発酵が進んで色が若干濃くなっていました。
3年味噌を例にとると、発酵が進んで熟成される分だけ、
1年味噌よりも色が濃くなるそうです。
このことから、今回の実験でもそれを見て取れます。
これから冷蔵庫で10日ほど熟成させて、
味が落ち着いたら完成になります。
冷蔵庫でおよそ10日間が経過しました。
① 常温で2週間発酵させたもの
② 35℃設定で2週間発酵させたもの
③ 58℃設定で1週間発酵させたもの

色の違いがはっきりでています。
①はフレッシュな納豆と風味が近くて、しかし豆はトロっとしています。
②は温度を35℃付近で発酵させたので、やや味噌化していると感じます。
③は発酵温度も時間も長かったので、味噌の雰囲気に近い納豆の味です。
時間をかけただけの効果があまり感じられないので、
①か②が、家庭用の五斗納豆には十分だと思いました。
五斗納豆は冬の農閑期に大量に作って、
春先以降の忙しい時期に備える保存食だと伝えられています。
となると、温度の低い冷蔵庫内で発酵させるものと勘違いしましたが、
麹菌の発酵温度は30~35度ぐらいが適温で、
それ以下では発酵が進まないようです。
そこで五斗納豆の伝承を調べなおしたところ、
『冬の農閑期にこたつの中で発酵させていた』
ということが分かってきました。
なるほどそれなら麹菌の発酵も進むわけですね。
理論的にも納得しました。
◆納豆の旨味
今では市販の納豆には必ずタレが付いています。
これには2つの理由があると考えています。
一つ目はカツオや昆布などのダシの旨味を追加すること。
もう一つは、糖分を入れると納豆の糸がとてもよく出るからです。
試しに納豆に砂糖をひとつまみいれてかき混ぜてみると、
とてもきめの細かい糸がどんどん出てきます。
この糸が納豆の旨味を増やしてくれていると思います。
さて、五斗納豆は昔なら麹の旨味もあって
そのままでも美味しいと感じましたが、
現在においては旨味不足と言えます。
そこで今回完成した五斗納豆ですが、
この後さらに顆粒の旨味調味料を追加して
冷蔵庫でさらに熟成させることにしました。
追加したのは顆粒昆布だしで大さじ1,5杯程度でした。
その結果、出汁の旨味をしっかり備えた五斗納豆が出来上がりました。
食べる時の工夫などもこれから試したいと思います。
以上、ご覧いただきありがとうございました。

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- ひきわり納豆・・・3パック 120g~130g
- 乾燥米麹・・・・・65g(最終的には納豆と同量にする)(後述)
- お湯(40度)・・・・65cc(乾燥米麹を戻す)
- 塩・・・・・・・・23g (全体が8%濃度になる量)
- ほんだし(顆粒調味料) 5g程度
※塩分濃度は12%以下になると傷みやすくなるそうです。
ここでは減塩のため8%に設定しました。
※ヨーグルトメーカーで熟成後に
顆粒昆布だしを大さじ1,5杯程度を追加投入しました。
◆保存容器とアルコール消毒
五斗納豆を発酵させるために、2つの容器を準備しました。
- 蓋がきっちりしまる保存容器(常温発酵用)
- ヨーグルトメーカーに入れる保存容器
低温の発酵は雑菌との闘いでもありますから、
使う容器やスプーンなどは必ず毎回アルコール消毒をしましょう。
◆乾燥米麹の下準備
乾燥米麹65gに同量程度の水65ccを入れて、
麹菌を目覚めさせる作業をします。
容器に乾燥米麹と分量のぬるま湯40度ぐらいを、
米麹がぎりぎりつかるぐらいまで入れます。
フライパンに40度程度のお湯をはって容器ごと湯せんしました。

湯につけたらタオルなどをかぶせて保温しておき、
温度が下がってもかまわず、2~3時間おいて、
米粒が指でつぶれる程度に柔らかくなったら準備完了です。

米麹が40度以上にならないようなお湯で作業してください。
水で戻した米麹の水分が少なすぎても発酵しないでしょうし、
水分が多すぎると雑菌の繁殖にもつながりますので、
まずはぎりぎりの水分量で進めていきます。
乾燥米麹によって必要な水分量も変わりますので、
発酵開始後に様子をみて、水分が足りなければ追加することにします。
◆全体の塩分量を8%にするための計算式
食材のグラム数 × 濃度% ÷(100-濃度%)= 塩分量g
これに当てはめていきます。
- 納豆=130g
- お湯で戻した米麹=130g
- 塩分濃度=8%
260×8÷(100-8)=22.6g ≒23g
必要な塩はおよそ23グラムとなりました。
一般的な味噌の塩分量は10%~12%ぐらいだそうです。
雑菌は塩分に弱いので、うまく発酵させるには塩分濃度が重要。
今回はそれほど長期熟成しないので、8%に設定しました。
◆材料をあわせて発酵開始
今回は2種類の方法で発酵を進めます。
- 室温(常温)25度程度で発酵
- ヨーグルトメーカー【33度】設定で発酵
麹菌が活発になり、かつ死滅しない温度設定として、
今回は33度付近で発酵させることにしました。
現在のキッチンの室温は25度前後になり、湿度は70%あります。
この部屋の状態で常温発酵を進めていきます。
◆食材の準備と調理手順
納豆は市販のひきわり納豆を使いました。

ひきわり納豆130gをよくといで容器に入れます。

次に水で戻して準備した米麹130gを入れます。

塩分濃度を8%にするための塩23gを入れます。

最後にほんだしを5g入れます。

全部入れ終わったらよくかき混ぜてから、
保存容器に入れます。

落としラップで納豆が直接空気に触れないように蓋をします。

キッチンタオルなどでさらに蓋をしてから、
食用オッケーなアルコールをキッチンタオルに吹きかけて濡らし、
五斗納豆に雑菌が入らないようにします。

ヨーグルトメーカーで発酵する容器にも、
同じように落としラップとキッチンタオルで蓋をして除菌しましょう。

こうして、準備ができたら発酵開始です。

常温発酵の容器は、ポリ袋の中に入れて密封しておきます。

たまに様子を見てキッチンタオルが乾かないようにアルコール消毒をしました。
発酵開始から2週間が経過しました。
ヨーグルトメーカーで発酵させた分は容器を移し替えました。

やはり温度が高い分、発酵が進んで色が若干濃くなっていました。
3年味噌を例にとると、発酵が進んで熟成される分だけ、
1年味噌よりも色が濃くなるそうです。
このことから、今回の実験でもそれを見て取れます。
これから冷蔵庫で10日ほど熟成させて、
味が落ち着いたら完成になります。
冷蔵庫でおよそ10日間が経過しました。
① 常温で2週間発酵させたもの
② 35℃設定で2週間発酵させたもの
③ 58℃設定で1週間発酵させたもの

色の違いがはっきりでています。
①はフレッシュな納豆と風味が近くて、しかし豆はトロっとしています。
②は温度を35℃付近で発酵させたので、やや味噌化していると感じます。
③は発酵温度も時間も長かったので、味噌の雰囲気に近い納豆の味です。
時間をかけただけの効果があまり感じられないので、
①か②が、家庭用の五斗納豆には十分だと思いました。
五斗納豆は冬の農閑期に大量に作って、
春先以降の忙しい時期に備える保存食だと伝えられています。
となると、温度の低い冷蔵庫内で発酵させるものと勘違いしましたが、
麹菌の発酵温度は30~35度ぐらいが適温で、
それ以下では発酵が進まないようです。
そこで五斗納豆の伝承を調べなおしたところ、
『冬の農閑期にこたつの中で発酵させていた』
ということが分かってきました。
なるほどそれなら麹菌の発酵も進むわけですね。
理論的にも納得しました。
◆納豆の旨味
今では市販の納豆には必ずタレが付いています。
これには2つの理由があると考えています。
一つ目はカツオや昆布などのダシの旨味を追加すること。
もう一つは、糖分を入れると納豆の糸がとてもよく出るからです。
試しに納豆に砂糖をひとつまみいれてかき混ぜてみると、
とてもきめの細かい糸がどんどん出てきます。
この糸が納豆の旨味を増やしてくれていると思います。
さて、五斗納豆は昔なら麹の旨味もあって
そのままでも美味しいと感じましたが、
現在においては旨味不足と言えます。
そこで今回完成した五斗納豆ですが、
この後さらに顆粒の旨味調味料を追加して
冷蔵庫でさらに熟成させることにしました。
追加したのは顆粒昆布だしで大さじ1,5杯程度でした。
その結果、出汁の旨味をしっかり備えた五斗納豆が出来上がりました。
食べる時の工夫などもこれから試したいと思います。
以上、ご覧いただきありがとうございました。

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